■斉国の長城 620㎞

古代中国の長城の跡。
秦の始皇帝が築いた万里の長城より古い、
現存最古の長城です。

山東省を東西に走る長城は、
北の斉国と
南の魯国の間の
防衛ラインでした。
ともに古代の
周から春秋戦国時代に存在した国。
周、魯国と言えば、
そう、孔子のふるさとです。

その時代に、
険しい山岳地帯を連ねて620㎞を築き、
もっと驚くことには
土塁が崩れず形を残していることに、
すごいの一言しかありません。

 

■版築でないのに姿を残す土塁

始皇帝の万里の長城は、
黄河一帯の細かい黄土を
突き固め突き固め、
版築という技法で強固に築きました。

それに対しここは、
近づいて土塁断面を見ても
版築には見えません。
しかも土もふかふかに見える。

写真に写っているように、
城壁のすぐ横までとうもろこし畑です。
麓の農村からこの山頂まで
ずっと農作物が作られていました。
つまり、栄養あるふかふかの土に見えます。

それが、こんなに保てるのはなぜ?

 

■斉国側は2段築造?

歩いてみると、
内側(写真を撮っている斉国側)は
2段築造のようにやや広い段丘があります。
城壁の向こう(とうもろこし、魯国側)は
ストンと切り立っていました。

これを見て思い浮かんだのは
博多の元寇防塁です。
内側は段状になっていて
段の上を武士が馬に乗って見張りで行き来。
外側(海側)はストンと切り立っています。

切り立ってはいるけれど、
たったこれだけの高さで
防衛になるのか?と思いましたが、
人は登れても、
馬は越えられないと聞き、なるほどと。

 

■石築の一角は見張り台?内城の門?

1枚目の写真右端の石積みは、
一帯を囲む小さな内城の一角。
門には見えず、
見張り台ではないかと話しました。
でもそれにしては位置どりが不可思議。

‥と、歩いてきたように書きましたが、
つい先日オンラインtripで繋いで、
ああでもないこうでもないと
やり取りしながら現地を見学した話です。

古代の春秋戦国時代に
長城を築いた人たちも、
海の向こうから自分の築造仕事を
まじまじと見られる未来は
想像もできなかったでしょうね・笑。

 

 

 

 

 

■おまけ(ヤギ)

長城全体620㎞ の中でもここはかなり状態良好だそうです。

そしてここは、古代から南北を結ぶ幹線道路に面した交通の要衝。

麓の農村を抜けて山道を登るところから
臨場感あふれる楽しみ方を致しましたが、

ヤギにも遭遇(笑)

一帯の農村は家も倉庫も立派に感じました。
聞けば、
農業が盛んな山東省の中でも
この辺りは豊かな農家が多いそう。

走っている道路は
古代から続く南北に走る幹線道路で
斉と魯を結んでいた道です。

そんな諸々から、
ああ、重要な場所だったんだなと感じられます。

ここから山頂へ登って眺めた360度、
長城が走る山岳地帯の、なんと美しいこと!

 

 

写真と現地解説: 徐晟 Xu sheng

 

 

 

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