韓国・ソウルの
西大門(ソデムン)独立公園の一角。
20世紀の歴史を抱えた刑務所跡が
歴史館として公開されています。

西大門(ソデムン)刑務所は、
名前を耳にしたり
映画の中で目にしたりと、
どこかでご覧になっているのではと思います。

■20年ほどで面積30倍

日帝強占期に、
日帝側が、
多くの独立運動家を収監した場。

日韓併合を目の前にした
1908年に新築され、
1987年に移転。
その後、建物を保存し歴史館として公開されました。
いくつかの獄舎と死刑場が国史跡となっています。

開所当時は、1,600㎡。
1930年代には、51,200㎡。
面積30倍以上にまで重ねた増築が物語ること。

立地ですが、
ここは朝鮮王朝時代の城壁の西大門を見下ろす小高い場所。
西大門から城壁の外へ通じる幹線道路は、
商売のため、移動のため、
人々が多く行き交った道です。
そこを見下ろす巨大な要塞は、
威圧感も恐怖も十分に与えたことでしょう。

この場所は、
1945年の日帝敗戦・解放後にも、
今度は自国の独裁政権との闘いで
多くの民主化運動家の収監に
使われ続けてしまいました。

 

■映画『マルモイ』

ところで、
韓国映画『マルモイ〜ことばあつめ』を
ご覧になりましたか。

1940年代、
太平洋戦争に突入した頃のソウルが舞台。
実際にあった「朝鮮語学会事件」がベースです。

多くの人が命がけで守ったものは
「ことば」。

名優ユ・ヘジンが
読み書きもできない一人の人間を演じます。
彼が、お金のためにたまたま手伝う「ことばあつめ」を通して目覚めていく気持ち。
瑞々しくささやかな喜び。

思想や高尚な考えなどと別次元で
言葉というものが、
いかに大切で人を支えるものか、
ハッとするようなことをたくさん突きつけられます。

映画のエンディングによれば、
植民地からの解放後に母語を取り戻している国は世界でも類を見ないとのこと。
(言われてみれば・・・)

『マルモイ』がそのまま西大門刑務所の説明になるように思いご紹介しました。(所内が描かれるわけではありません)
ネット配信でご覧になれますので機会があればぜひ。

それにしても、
ユ・ヘジンはどの映画でも本当に上手い。

 

 

 

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