
韓国を歩くと、知らなかったことに遭遇し驚くことばかりです。
歴史ツアーで宿泊したホテルの石段が、日本統治時代の神社の、数少ない痕跡だったとは!
敗戦の日の翌日、1945年8月16日、
京城(現ソウル)にあった朝鮮の総鎮守「朝鮮神宮」は日本人の手で昇神式にて御祭神は奉還されました。そして後日、すべて燃やして廃社されました。
今は何の痕跡も残っていません。
場所は明洞、今の南山公園。
ソウルタワーやケーブルカーでにぎわう観光スポットです。
日本が統治していた当時の朝鮮には官幣社や国弊社などが82ヶ所、居留者が設置した社・神祠を加えると全部で995ヶ所の神社がありました。
その神社の、数少ない痕跡のひとつが、
江原道春川の旧江原神社の跡。
石段が、現在の世宗ホテルの正面階段として残っています。
とは言え、石段を「モノ」として活用しているだけで、
宗教的な痕跡はまったくありません。
かたらんねツアーでは過去に2度、それとは知らず泊まっています。
世宗ホテルは、春川の中心部を少し外れた高台の、決して便利ではないけれど眺めのいい場所にあります。江原神社の話を知っていれば違う見方、感じ方があったかもしれません。
明日は台北の台湾神宮のお話を。
あっと驚くような場所に、今も痕跡を残しています。
*数字は下記から引用させて頂きました
中島三千男氏『海外神社跡地の景観変容 さまざまな現在』
川瀬貴也氏 京都大学人文学研究所『人文学報』108号
春川世宗ホテル(韓国・江原道春川)
市内中心部はずれの高台にあり静かな環境
正面の階段は日本が占領していた時代の旧・江原神社の痕跡
政財界の方々も集うホテル
韓国の歴代大統領もここへ
「京城名所 朝鮮神宮」とある。これは占領期の絵はがき。
現在のソウル中心部、明洞にあった。
*絵はがきの写真はパブリックドメイン(public domain)
春川の町を望む。澄み切った青空、からりとさわやかな空気、美しい街。国立春川博物館の高台より
春川と言えば、「冬のソナタ」のヨン様。雪のオブジェがあふれる冬ソナストリートもあるけれど・・・
片手にマグライト、片手に方位磁石で、
高句麗遺跡を訪ねる我々のような人々もいますよ。