大村横穴群を観たあとは、とっても楽しいレトロ旅。ゆっくりと列車で走り、車窓から風景を楽しみ、風や光を感じてゆく。現地が何かを語ってくれますよね。景色に溶け込んでゆく感覚がありますよね。
1989(平成元)年に人吉駅から東側、湯前駅までが、JR九州から第3セクター「くま川鉄道」に移管されました。それで同じ駅の中に、JR九州の「人吉駅」とくま川鉄道の「人吉温泉駅」が混在します。もともとは1つの駅。
大村横穴群は「人吉駅」「人吉温泉駅」と隣接しています。駅の構内にもプラットフォームにも大村横穴群の案内板があり、くま川鉄道に乗ろうとプラットホームに立つと目の前に横穴が広がっているという驚愕の立地、そして贅沢さ。
ここを出発して人吉盆地を東西に走る「くま川鉄道 湯前線」は、心洗われる絶景を楽しめます。観光列車「田園シンフォニー」は機会があればぜひ体験してほしい列車。高校の下校時間と重なると満員になる、というのも微笑ましいです。
人吉名物の駅弁を買って乗り込みましょう。駅前に店舗あり。
ちなみに「JR人吉駅」側には、全国でも数えるほどになった駅弁の立ち売りで菖蒲さんが今も活躍中。立ち売り一筋50年!
こちらは→ 2019年の『サライ』(小学館)の記事です。
くま川鉄道の沿線では、橋梁やアーチ橋や駅待合所やプラットホームなど、全19ヶ所が登録有形文化財に指定されています。こんな路線を旅できるのはもはや贅沢。にわか”乗りテツ”になってしまうこと請け合いです!
人吉・球磨エリアは球磨焼酎のふるさと。今も小さな蔵が驚くほどたくさん現役です。蔵ごとに少量ずつ、本当に個性的な焼酎を醸します。広大な盆地ときれいな水があればこそ。私たちは、そこで栄えた古代文化を求めて、あさぎり町を目指します。
狗奴国の比定地のひとつともされ、あの優美な免田式土器のふるさとです。鎏金獣帯鏡(りゅうきんじゅうたいきょう)や方格規矩鏡(ほうかくきくきょう)の破鏡を出土した土地です。すごい。
句奴国や免田式土器はまた別の機会にレポートをと思います。
【写真コーナー】——————–
列車の窓から大村横穴群を望む。窓に「春」マーク
「人吉温泉駅」プラットホームにも横穴群の案内板が。ここから遠目に横穴群が見学できるとはすばらしい
プラットフォームにある案内板
JR九州とくま川鉄道で駅舎共用。JR九州では人吉~八代間でSL乗車もできます(特定日)。大村横穴群がすべての案内に載っています。駅と一体ですね
くま川鉄道「田園シンフォニー」春バージョン
「田園シンフォニー」冬バージョン
観光列車「田園シンフォニー」。季節ごとに列車が変わります。春・夏・秋・冬と、5つ目がある!「白秋」ですと!深い。渋い!
沿線には国の登録有形文化財が19か所も
人吉駅の正面。名城・人吉城を模した歴史を感じさせる建物です。鎌倉時代に始まる相良氏が治めた数々の歴史をたたえた街です
待合室もレトロで良い雰囲気
「人吉温泉」駅。ローカル線の旅へ
人吉駅前、マンホールのフタは球磨川下り
球磨地方の郷土玩具「きじ馬」も
駅弁立ち売りの菖蒲さんが全国的にも有名なJR人吉駅。栗めし、鮎ずし、と魅惑的。駅前の「やまぐち」さんで購入できます
名物「栗めし」。ワクワク
栗をあけたら、どどーんと栗。大変美味しゅうございました
田園シンフォニー、列車にはいろいろなコーナーがあり楽しい。展示品も楽しめます
おしゃべりしたり、外を眺めたり
おしゃれなランプと、大村横穴群
列車先頭に立てば、線路も、鉄橋も、広大な景色も、わがものに!
おかどめ幸福駅まで行って、あさぎりをめぐります。その隣駅は、名前も「東免田」!
至福の列車たび
到着。無人駅です
おかどめ幸福駅。注連縄もかかり、ありがたや。幸福になれそうです
才園(さいぞん)古墳へ行ったり…、
本目(もとめ)遺跡へ行ったり…、
鎏金獣帯鏡(りゅうきんじゅうたいきょう)。すごすぎる。
資料館の展示資料より
免田式土器。繊細な姿。球磨川流域の古代人はこんなに美的センスあふれて。
資料館展示より
隼人、熊襲、のお話をたくさんお聴きできました。
球磨川流域に華開いた文化の繊細かつ優美なこと。熊襲=野蛮などというのは、ほんとにとんでもない誤解です
広大な盆地、どこまでも平らな良質の土地。遠くの山並みはぐるりと美しく、球磨川の水も、食べ物も豊か。ここに王国が栄えたのは、現地に立てば一瞬でわかる。今も豊かな恵みで、球磨焼酎が創られ続けているわけも。